2017/04/24
3/28 三条市高等教育機関(実学系ものづくり大学)の検討状況 にいがた経済新聞
新潟県三条市で「専門職業大学」の検討が進んでいる。
専門職業大学とは短期大学の制度化以来52年ぶりとなる新たな高等教育機関の誕生となる。
「專門職業大学」は2019年度より順次開設され、文部科学省の「専門職業大学」を拡大する意味を含めて認可されやすいからであろうか。しかしながら「大学」と「專門職業大学」の差が明確に示されていないにも関わらず新しい高等教育制度を進めることは逆に混乱を招きかねない。「專門職業大学」では実習の時間が多く設定され、実務家教員の人数も多く配置しなければならない。美大からすると実務家教員は多く、実習の時間だけ多く確保できれば、「專門職業大学」とは何の差もできない。つまりそこにメリットが生じないのである。それは他の大学でも同じではないだろうか。しかし文部科学省は「専門職業大学」の制度を推し進めている。文部科学省にとっては何らかのメリットや目的があるのだろう。その目的がずれていないことを祈るばかりである。
「専門職業大学・専門職大学」とは、社会において即戦力となる人材の養成を目指して、中央教育審議会の特別部会により創設が検討されている職業教育に特化した新たな高等教育機関である。主な特徴は以下のとおり。
・専任教員の4割以上を企業などでの勤務経験が5年以上ある「実務家教員」とすること
・卒業単位の3~4割以上を実習科目にし、企業での実習(4年制なら600時間以上)も義務づける。
・修業年限は2~4年、「学士」「短期大学士」相当の学位を授与すること
(多様な若者のニーズと産業界の人材需要への対応)では下記のように記載している。
・ 大学は、制度として教育と研究の双方をその目的に掲げ、我が国の学術研究の発展という使命をも担っているため、学生や社会の現代的なニーズに応えた専門職業人養成機能のさらなる量的拡大に比重を置いて対応していくことには限界がある。
→半数近くの大学が定員割れを起こしている現状で、これ以上の大学の乱立はさらなる混乱を招きかねない。
・ 短期大学は、地域に根差した身近な高等教育機関として専門職業人を養成しているが、社会の複雑化に伴って職業人に求められる能力が高度化している中、短期の修業年限の範囲でこうした要請に対応することが難しい場合もある。
→短期の修業年限(2年)という観点からいうと専門職業大学も同じである。設置基準を改正し対応する方向性もあるのではないか。
・ 高等専門学校については、中学校卒業時から学生を受け入れて後期中等教育段階から高等教育までを一貫した教育を行うことに特徴があり、その点で高い社会的評価を得ているものであるため、大量の高等学校卒業者を受け入れることが制度上想定しにくい。
→高等専門学校は制度として、独立した制度であり、もともと高等学校卒業者を受け入れるよう想定してないのではないか。
・ 専門学校については、制度として職業等に必要な能力の育成を目的に掲げており、社会的ニーズに弾力的に応えて多様な職業教育を展開し、実際的な知識や技能を育成しているが、教員数や施設設備に関する水準が緩やかなものとなっており、その柔軟な制度的特徴から、教育の質が保証されたものとはなっていない。
→教育の質が保証されていないならば、先に保障されるよう指導すべきではないか。
以上は資料の一部を抜粋し感じたことを述べたに過ぎないが、専門学校・短期大学・大学との差別化が難しい。「専門職業大学」としてのメリットが少ないように感じる。
新たな高等教育機関というよりは、設置基準の改正をしたほうがよいのではないか。
これはオランダの制度と似ていると感じた。オランダでは研究大学と高等職業教育機関があり、高等職業教育機関はキャリア志向の構成となっている。文部科学省は高等教育の方向性を目的別に分類する方向で進みたいのであろうか。
参考(引用)文献
大学改革支援・学位授与機構
http://www.niad.ac.jp/n_kokusai/info/holland/
資料2 実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の在り方について(審議まとめ素案)
文部科学省ホームページより
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/061/attach/1355667.htm